縁あって現在の中小企業に専務として転職しています。
社長から、いわば品質管理を推進する役として請われての就任です。 いろいろ説明するよりも、U専務の手紙のポイントを順を追ってご紹介したほうが多言を必要としないでしょう。全員を前にした就任の挨拶が「ここは仕事場ではなくゴミ捨て場だ」「こんな汚なさ、乱雑さをなんとも思わないのは、正常な神経ではない」「自分たちの家もこんなに汚ないのか」という異例のものでした。

工場の機械は、油まみれ、ホコリまみれで、故障や不具合個所ばかり。
仕上、組立工場にいたるまで原料、金型、成形品、それも良品か不良品か見さかいなく、不要工具も混じって散乱し、そこで、U専務は考えました。

品質管理については、そのために自分が請われて入社したのだから推進しなければならない。
ただ、その品質管理をするにもなにも、教育訓練、意識高揚といった下地づくりから始めねば、と。 いやいや、その前段に、品質基準作業基準はなくあっても利用されないし、内容にも問題があり、従業員教育はなされず、オーバーにいえば、良品か不良品かは、客先から返品されたり、クレームがくるまでわからないというほど、自主的に判断がつかず、また、それを恥ずかしいとも残念とも思わない、無気力そのものの職場だったのです、検査にしても「ただ見るだけ」で、ノーチェックさながらに暇庇のある製品が出荷される状態で、ひたすらトラブル処理のために作業員が客先に出向いたり手直し作業に追われて、日常業務が阻害され、ひいては納期遅れや不良品たれ流しの悪循環です。

U専務が結論づけたのは「心外だったのは、その日に追われて改善を考える者がひとりもなく、そしてマネジメントがまったく不在で、これは”経営”といえるものではない」ということ通路も手押車がまともに通れないほどだったそうです。 当然のことながら、出荷段階で異品が混入し、納期遅延数量過不足、と、トラブルは日常茶飯事です。
各職場には、推進委員を中心とした分科会またはサークルを設置する。 推進委員会は月1回定例で開催し、月次計画と職場別具体的展開方法を検討し、職場のU専務が、まず「3S運動」を全社的に提唱しました。

これは「整理」「整頓」「清掃」のローマ字つづりの頭文字3つという意味です。 「大掃除ではない。
あくまでも品質向上のための仕事として3S運動をやる。 不要なものを処分し、要るものだけ、何が、どこにあるか、誰にもはっきりわかるようにおき、しかも汚れないよう、きれいにしておく」という狙いを、お念仏のように唱えてから、U専務は着々と運動を実施していくことになります。

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